農園にトンボビオトープを造る

ビオトープとは、「生き物たちの生息空間」のこと。例えばトンボビオトープは生まれ育った水辺を中心に半径2キロメートルの生活空間。
人のビオトープは地球全体、いや宇宙まで広げようとしていますよね。
RIKAENがある大阿太高原は独立した小さな台地なので谷川や野池がありません。
そこで、農園に野池を造ったらどうなるか、高原を通過するトンボはここを生息地に選んでくれるのか、興味は尽きません。

第1章は「池づくり(本体工事)」 池の造り方についての説明です。
第2章は「環境形成」 生き物が集いやすいビオトープの環境形成についての説明です。
第3章は「池の成長と変化」 水が入った後のビオトープの生長と変化について記していく予定です。

記事の更新度(継続記録)を考慮して、第3章を優先しています。

  第3章 池の成長と変化 ≪農園に水辺ビオトープを造ってみた記≫  ※最新記事が一番上になります。

はじめに    (長文ですが農園にビオトープを作ることの意味を書いています。詳しく知りたい方は読んでね。)

農園の小さな野池「RIKAENビオトープ」

 

 ビオトープとは、生物(bio)と場所(top)を組み合わせたドイツ語由縁の造語で、「生物の生息空間」を意味します。

 生物にはそれぞれ、命の連鎖のために必要とする生息空間があります。たとえば、トンボは幼虫時代を水中で過ごし、成虫時代を草原や大気の中で過ごします。生命を維持するためには捕食行為が不可欠です。トンボは肉食昆虫なので、水中でのヤゴ期にも、動物性プランクトンやイトミミズ、メダカ、オタマジャクシ、同属のヤゴなどを捕食します。つまり、幼虫のヤゴが成育するためには、ヤゴに捕食される生物が必要であり、それらの生物が一定のバランンスを保ち食物連鎖が途切れなく行われているという状況が必要なのです。

 RIKAENビオトープは、トンボが生育できる生態系の確立したビオトープを目指しています。RIKAENビオトープでヤゴが育ちトンボへの羽化が確認できれば、RIKAENビオトープは、トンボを養う食物連鎖を確立したトンボビオトープに進化したということになります。

 ところで、ビオトープづくりは、できる限り人為操作を排除して自然の成り行きにまかせることが基本のスタンスです。池には水を張り、水生植物や陸生の昆虫が寄ってくる草木などの周辺環境を整えます。しかし、生命の誕生はあくまで自然の成り行きに任せます。池の水は雨水と吉野川の水を入れますので、食物連鎖のスタートである植物性・動物性プランクトンは確保できます。それが、ヤゴの成長を保証する生態系まで進化するには、他にさまざまな要素が加わる必要があります。

 欠けた要素には穏やかに手を貸すことも必要です。小魚(メダカなど)やカエルなどの動物移殖(地域に生息する日本固有種に限る)が必要になることもあります。水辺で採取した水草に卵が付着していたという偶然の要因も歓迎します。ただし、人為的な動物移殖には、それら固有の食物連鎖も必要となり、池の生態系の維持がより高度で複雑になります。池の成長過程の見極めが大切です。

 さて、トンボは、RIKAENビオトープを自身の命を預ける生息場に選んでくれるでしょうか。

 私はこれまで異なる環境下で3つのトンボビオトープを作ってきました。1つ目はいわゆる里山環境が周辺に残る場所。2つ目は、コンクリートで囲われた観察池。3つ目は、住宅に囲まれた造成グラウンドです。それぞれ手入れの仕方は異なりましたが、3つのビオトープとも、トンボの羽化に成功しました。しかし、今回のRIKAENビオトープは、これまでの経験値では予測が難しい環境下のビオトープだと考えています。それは、つぎの理由に拠るものです。

 今回、チャレンジする農園ビオトープは、標高150〜200mの開けた丘陵地(大阿太高原)の一隅に在する農園内に作ります。平坦な丘陵地には小川やため池がなく(吉野川の水をポンプアップする)、一面に広がる農地は単一果樹(梨)で占められています。人が長年にわたって自然地形を果樹農園に変えてきた特殊な里地です。果樹農園では果実生産のために広範囲に殺虫殺菌剤を散布し、追肥と土地改良を繰り返しています。ときに特定種の害虫が大量に発生することもあります。こうした環境は、生物の多様性(自然環境の豊かさを測る物差しに使われる)からは真逆の環境にあり、生物には厳しい環境であると推察します。かつて希少なハッチョウトンボの生息地であった麓の湿地帯も、今では大きな住宅造成地になり休耕地には太陽光発電施設が居並ぶ光景に変貌しました。高原の梨農園だけでなく麓の自然環境も景観も生物に厳しい状況にあることは明白です。そういう環境要因も理解した上での、RIKAENビオトープであるということです。

 果樹農園に、あえて野池を作るとどうなるでしょうか。興味深い問題提起です。RIKAENの小さな池で、生物の命の連鎖は起こりうるでしょうか。

 現在、梨農園が広がる大阿太高原ではヤンマ系トンボを見かけることはありません。ヤゴの生息環境がないからですが、成虫トンボの飛行範囲を考えると、他地の小川やため池で生まれたトンボが、RIKAENビオトープを自身の生活範囲の生息地点に加え、産卵、生育を行う可能性がないとは言えません。トンボは古来より益虫として人と共存をしてきました。農園ビオトープへのトンボの移住は、農園にとって思わぬプラス効果があるかもしれません。RIKAENの小さな野池で始まる壮大なドラマから目が離せません。


RIKAENビオトープ観察記録
 写真なし いずれ撮れれば。  メダカが泳いでる!!

6月20日

な、なんと、メダカを2匹発見です。もちろん、どこからも持ち込んでいません。考えられるのは、過去に別ビオトープから移植した水草(スイレン、コウホネ、ショウブ)の根に卵が付いていてそれがふ化したのかと。

それにしても、よくまあご無事で。生命力のしたたかさに驚き桃ノ木山椒の木ですわ。
これでRIKAENビオトープに求めていたものが一応出そろいました。
いやあ、面白い。楽しい。
   6月14日

シオカラトンボ♂

1週間前くらいからビオトープ周辺を飛び交っていました。今日やっと撮影ができました。

ここ最近、あれだけ鳴いていたカエルの声が聞こえません。どうしたんだろう。
   5月30日  クロモ

自然発生の藻を採取して調べてみました。
葉が5枚。反り返ってきわめて細かいノコギリ歯。葉の長さは約2センチほど。
これらの様子から、トチカガミ科クロモと同定。外来種のカナダモではないと判定しました。
夏から秋にかけて小さな花を付けるのでビオトープの楽しみが増えました。
  5月28日 満水のRIKAENビオトープ

暑い日が続きました。ビオトープの水も、すぐに水位低下します。イネ科の雑草は水に強くどんどん水深の浅い部分に進出しています。でも、火曜日と金曜日には、農園割り当てで吉野川の水がポンプアップされるので助かっています。kの時ばかりは、進出した雑草も完全水没。でもへこたれていませんよ。

今日、水底にクロモ(あるいはカナダモ)が数株発生しているのを発見。移殖した水草か、吉野川の水に紛れ込んでいたのが育って定着したようです。淡水藻類を移入しようと思って地域を物色していたところだったのでラッキーです。

アカガエルがよく鳴いています(姿は見えないのだけどね)
 5月19日現在 RIKAENビオトープの生き物たち  アメンボ ヒメゲンゴロウ アオイトトンボ マツモムシ クロスジギンヤンマ サカマキガイ(推定) ニホンアカガエル シュレーゲルアオガエル そのほか小さな羽虫が飛来
   祝・クロスジギンヤンマの産卵

5月18日 待望のクロスジギンヤンマ(♀)です。ヤンマ科ギンヤンマ属。しきりに産卵行動を繰り返しています。ハスの葉に止まり、産卵管を水の中に入れて産卵中。オスの姿はなくメスだけの現認でした。オスは腹部があざやかな青色ですが、メスは全体に黄緑っぽい色です。ヤンマの行動範囲は広いので、ふもとの池でふ化した成虫が、RIKAENのビオトープを見つけ、産卵を決行したようです。うれしいなあ。ありがとうね、ヤゴからふ化して成虫になるのが4〜5月なので、ヤゴが順調に育てば来年にはRIKAENビオトープでヤゴからトンボへの羽化が見れそうです。

ヤンマの生息が、RIKAENビオトープにとってきわめて大きな意味を持つことは「はじめに」で述べました。それが現実の形になりつつあります。期待はしていたものの実際にヤンマの産卵行動を見ると、生物の不思議と生命力に驚きと感動を覚えます。すごいなあ、自然の営みってほんとうにすごい。
   コウホネの蕾が開き始めました。黄色いぽこっとした花です。地下茎が骨のように白くごつごつしていることにちなんだ名ということだそうです。
池の底には、タニシに似たモノアライガイ、もしくはサカマキガイだと思います(殻の巻き方は確認していません)が、あっという間に大量に繁殖しています。付着藻類をはじめ、動植物の遺骸、微生物などなんでも食べるようです。ビオトープにとって有害なのか無害なのか微妙です。しかし人的な排除は困難です。ビオトープという小さな水辺環境で他者とどんなふうにバランスをとって生きていくのか、いまは爆発的に繁殖していますが、ずっとこのままというふうにはいかないはずです。様子を見ることにしましょう。
 カエル名の訂正   ニホンアマガエルとしたカエルには、目から耳にかけて黒い帯模様がありますが、現認のカエルには黒い側線がなく、また個体も5〜6センチと大きいため、アオガエルの仲間とします。モリアオガエルまたはシュレーゲルアオガエルか。
背に黒い斑点模様がなくまた目が赤くないのでモリアオガエルではなく、シュレーゲルアオガエルと訂正します。日本固有種で日本の数県でレッドリストの指定。
   5月11日

池にカエル。待っていた上級の捕食者が登場。同時に2種発見です。
ニホンアマガエル。(のちに訂正→シュレーゲルアオガエル)
もう一方は、アカガエルの仲間かな。目の下方の黒い模様と背中に走る2本の白いライン。

現認は単体なので、相方が入ってくれたらなあ。来るといいんだけどなあ。このビオトープでオタマジャクシの誕生を見たいなあ。
昆虫名の訂正  4月9日付記事で、水中のコウ虫をミズスマシに同定していました。しかし、疑問が生じました。1、ミズスマシ特有の水面くるくる舞が観察されない。 2、今回、幼虫らしき生き物を発見。幼虫はゲンゴロウに酷似。ゲンゴロウ属の幼虫は脚が発達して上からも見える(ミズスマシやガムシには3対の脚は見えない)。腹部の末端にひげのように伸びた1対の突起がある(ミズスマシやガムシより目立って特徴的)。よって、ゲンゴロウの仲間の幼虫と同定。サイズが1センチ未満であることから、ヒメゲンゴロウかマメゲンゴロウと推定。成虫の発見時期から約1か月を経て幼虫を現認したことからも、この池で孵った幼虫であり、この幼虫と成虫が同じ種と考えるのが自然。

よって、4月9日付記事を訂正し、ヒメゲンゴロウ とします。
   5月11日

流線型で泳ぎ型の水生昆虫の幼虫を発見。でもイトトンボの幼虫ではない。すでに居住しているミズスマシの幼虫でもありません。むしろ、ゲンゴロウの幼虫によく似ているのです。とすると、これまでミズスマシとしていたのは、ヒメゲンゴロウかマメゲンゴロウの可能性が濃厚です。というのも、ミズスマシ特有の舞が見られないからです。
幼虫の姿態はヒメゲンゴロウによく似ています。

   5月11日

日中30度を超える気温。
RIKAEN作業をやめて、ビオトープの観察。じっくりと1時間、目を凝らして水の中の動くものを探す。

発見いっぱいありましたあ。

まずはマツモムシ。前の写真は借り物。これはRIKAENビオトープのマツモムシでござる。
それからタニシ。数個体を確認。おそらく移殖した水生植物に紛れて入ったか、または吉野川の水か。まだ小さくて1センチ未満。触角を出してゆっくりと池の底を這っています。
      5月3日

令和に入って3日目。アオイトトンボがよくやってきます。
水辺にやってくるのは、ほとんどがつがい♂♀です。つまり産卵のための飛来です。
止まる水草には好みがあります。その茎に産卵するからです。先日、オモダカを移植しましたらさっそく、その茎に産卵しています。なんと3つのつがいが同時産卵行動。本来のなわばりも、ラブの時は関係ないってか。
     4月27日 マツモムシ飛来

いまかいまかと密かに待っていたマツモムシ。来てくれました。ありがとう、ようこそRIKAENビオトープへ。
これでアメンボ、ミズスマシ、マツモムシと、ビオトープ初期主役級の3者がそろいました。写真は撮れなかったのでwebからお借りして紹介します。水面では、腹を上に背を下にして、背泳ぎ状態で泳ぎます。背にはおしゃれな模様があるのに、見かけは地味な虫っぽいです。水に潜るときは力強いストロークで一気に潜水します。カメムシの仲間で小昆虫や小魚に針のようなストローを突き刺して体を溶かして食べる肉食昆虫です。3者はどれも肉食昆虫なのですみわけをしているとはいえ多少競合しますね。カエルがやってきて、たくさん卵を産んでくれるといいんだけどなあ・・・って、すでに虫の気持ちで語っています。
     過去3号目に手掛けたビオトープから、コウホネとショウブを株分けしてRIKAENビオトープに持ち込みました。水の水質保全と環境形成に必要な水草です。先に入れたスイレンは白い花、コウホネは黄色い花を咲かせます。3者いずれもしっかりした地下茎が底を走るので、これらが、池の水環境をコントロールする水生植物の主役になります。

ショウブは、古来からある日本の草花で、お風呂に入れてショウブ油の香りを楽しむ風習があります。葉をぽきっと折るだけですごく香ります。ちなみにアヤメのような花が咲くハナショウブとは別でよく間違われますが、ショウブはサトイモ科、ハナショウブはアヤメ科です。ショウブの花は小さい白い花を稲穂状に咲かせますが、それが花だと言われないとわからないような地味さが持ち味です。
   4月21日 イトトンボ確認

現在は週に一度、揚水があって池は一日満水状態です。しかし、まだ池の水止めが機能せず、水抜けが激しいです。ビニルと池底の土との間に粘土層が作られるまで気長に待つしかないです。

と、スイレンを持ち込んで4日目。イトトンボが交尾してるのを発見。オスはきれいな青色のイトトンボです。カメラを取りに場を離れた間に、青いオストンボはいなくなってしまいました。写真はおそらくメスです。色は茶褐色で地味な色です。詳しくありませんが(なんとなく)アオモンイトトンボ(?)のメスかなと。アオモンイトトンボのメスは、オスと同じ青色系のほかに、成熟すると青色系にならないメスがあるようです。これは、オスのセクシャルハラスメントを防ぐ効果があるといわれています。

いずれにせよ、RIKAENビオトープにトンボが産卵する可能性が出てきたということです。
   4月18日 水生植物を入れる

過去に作って10年を経過したビオトープから、スイレンの株とショウブを分けてもらってきました。そのビオトープは、コンクリート仕立ての観察池を改造したものですが、ほどよく管理されていたようで、水は茶褐色ですが透明感があり、底の泥もまったくいやな匂いがありません。生きたビオトープです。周りに植えた木々も大きく育ち、クヌギは周辺に若木を自生させるほどに育っていました。そのクヌギの若木もいただいてRIKAENビオトープの周辺環境にしました。

スイレンはすでに若葉を開いています。太い地下茎からはしっかりとした根がたくさんの底土を抱えています。微生物やプランクトンなどを大量に含んでいる可能性があるのでそのまま池に入れました。根が浮いてしまうのでブロックにからませたりレンガで重しをしました。

ミズスマシは生息中です。活発に動き回っています。
   4月15日

水底に沈殿した泥土が綿のように覆っているのが気になっていましたが、それが、べろっとはがれて浮き上がってきています。川岸の止水の水たまりなどでよく見かけます。おそらく藻ではなくバクテリアの一種です。池の土に養分が多く、バクテリアが増殖しているのでしょう。
土に栄養分が多くバクテリアが異常繁殖しているようです。放置すると水中の溶存酸素濃度を低くして腐り水になりかねません。

好ましくない兆候なので、この辺で、吉野川の水だけによる変化の見守りは限度です。水生植物を導入して水中の栄養分を吸収する必要があると考えています。
   4月9日 ミズスマシ確認

いつものように何気なく池を見ていると、水面に小さな輪っかができました。
何かなと、しばらく見ていると、おお、ミズスマシです。水中から浮かび上がって空気を体に取り込んでいます。

水底に綿のようなものが覆い始めています。


(後述5月11日記事で昆虫名に訂正あり)
 (後述5月11日記事で昆虫名に訂正あり)
 間もなく、水中に潜っていきます。底石についたミズアカの中に潜り込んでごそごそ動き回っています。数分後にふたたび水面に腹ばいになって浮かび上がります。
ミズスマシは肉食昆虫なので、アメンボとは競合するのですが、アメンボは水面で、ミズスマシは水中と棲み分けします。しかし、水中にはまだ被捕食者となる「エサ」は肉眼では確認出来ません。動物性のエサがいるのかどうか。まだ定住するかどうか決めかねているようです。
   4月8日 アメンボ生息

アメンボの飛来から2週間以上がたちました。こんな小さな水たまりで生息が可能なのか、もし、限界ならアメンボもどこかに移動するかもと観察していました。そして。
個体数は・・・増えています。
現認で8匹。捕食できる状況があるといるということです。と、羽虫が水に落ちました。近くのアメンボが狙っています。

水辺には水草もありません。まだ、ただの水たまりです。
 
  3月20日 アメンボ確認

日替わりで晴れと雨を繰り返す天気が続きます。
導水から二日。
来ました、来ましたよ〜。
アメンボです。4個体います。水面に浮かんでいると思うと、陸に駆け上がって姿を見せなくなったり、冬越しから目覚めて間もない個体だと思うのだけれど、ようこそ、RIKAENビオトープにいらっしゃいました。小さな羽虫が水に落ちたりし始めています。このまま居ついてくれるのか、それともどっかへ旅の途中の寄り道なのか、気になりますねえ。
   3月18日 2回目の吉野川水を入れる

ふたたび吉野川の水を導水。半日、かけ流しです。前回に比べてアクも少なくなりました。今回は人為的に水抜きをしないので、これからしばらくは、吉野川の水と雨水のみで動植物を加えないで様子を観察します。具体物を加えないというのは、吉野川の水だけで起こる変化を確かめたいからです。当然、川の水には有機物やプランクトンなどが含まれています。つまり吉野川の水がRIKAENビオトープで何を引き起こすかを観察します。そこから次の手だてを考えることにします。
   3月9日 

先だってから少し気になることがありました。雨でたまった水が、2,3日で緑っぽくなります。おそらく、農園の土に肥料が多く含まれるせいで、水が富栄養化しているのではと推察。水に有機物が多いと微生物が多く発生し、それが水中酸素を消費する生物的酸素要求量=BODが高いので、水の攪拌や流れのない池では溶存酸素量が低下し、腐敗が進行します。そうすると、通常の生物は生活不可能になり、池は死んだ状態になります。そこで、大気の酸素を水中に取り入れる仕組みが必要になります。ディスプレーとして噴水の設置も効果があると思いますが、RIKAENビオトープではもっと積極的に上から水をシャワー状態で水面に落とす仕組みを作ってみました。排水用水中ポンプで循環駆動します。ディスプレイとしてもインパクトがあって(LEDでライトアップも)、いいアイディアだと自画自賛です。
   3月9日 吉野川の川水を入れる

梨農園に吉野川の水配分の試験実施が始まりました。早速、導水開始。ホースから出てくる水は、強い雨が降った時にトユから噴き出す雨水くらいの量です。ほぼ、1時間半で満水。夏場も夕立があれば屋根の雨水で水位確保ができると予測。排水口も決壊せず、最初の状態としてはまずまずの結果です。土手の法面は水をしっかり含んでふわふわドロドロ状態。でも崩れ落ちることもなく一安心。砂利やセメントのアクが浮き出しています。満水の後、いったん水抜きをして、後日ふたたび水を入れることにします。


 第1章 池づくり (1)池を掘る
2018年10月31日 RIKAENビオトープ造成工事スタート

プロジェクト支援者に、重機で穴掘りをしていただきました。

手作業での池づくりがテーマですが、これだけはもろ手を挙げて重機のお世話になりました。いやあ、ホントにありがたいわあ。


掘る場所は、あらかじめ耕して形が目視できるようにしておきます。

この段階で掘った池は、今後の制作過程で、面積はより大きく、深さはより浅くなります。
設計では最幅部が280センチ、深さは最深部でおよそ100センチですが、完成時の予想では最幅部で+100センチ、深さは80センチくらいになるでしょう。

それにしても重機の仕事は偉大です。もちろん、それを動かす人には大いにリスペクト。
 
  2つの段差があるように掘ります。向こうが最深部。手前が最浅部です。50pほど掘ると赤い粘土層が出ました。水持ちはよさそうです。

重機が掘り出す池の大まかな断面はこんな感じ。最深部で1メートルくらい掘り込みます。
 ここからはすべて手作業工事に着手。とはいえ、まだまだ暑いので放置。

しっかり構想を練るとの理由をつけて、長期サボタージュを決め込みました。

11月初旬 重い腰をあげて池づくり再スタート。

土を削る、掘る、運ぶ、埋めるという地味〜な作業だけが続くのです。

そんな折、クラウディオ(メキシコ)君とフェルダン(チェコ)君が、ビオトープの作業のお手伝いに汗を流してくれました。

監督は、ここを掘って、この土を上げてと身振り手振りの説明でしたが、よく理解してくれて、しっかり作業をしてくれました。神様に見えましたよ(笑)。ほんと大助かりです。

重機が積み上げた土の山を壊しながら、池に埋め戻して法面を作る作業が続きます。


段の角を削って斜めに法面を形成していきます。

土止めに端材を並べ、土手にシートを巻き込むための溝も掘っておきます。
 
40センチほどの端材を百数十枚、池の外郭に並べました。少し溝を掘って倒れないようにぎゅっと差し込みます。
   
 第1章 池づくり (2) 池をシートで被う

防水シートで池の底面と側面全体を覆います。廃棄するビニルハウスの透明シートをいただいて敷きました。シートは完全防水を目指してはいません。だから破れたり少々穴が開いていても問題ありません。水が入ると、長い間にシートと、その下の池底との隙間に薄い粘土層が皮膜のように張り付きます。これが防水効果を向上させます。

最深部にブロックで「会所」を組んでいます。会所の意味は後段で説明します。

下写真の左上に見えるのが道具の「タタキ」。土を締めるのに使います。両腕の屈伸運動。野池づくりはジムトレーニングにも勝る?。
 
   
 シートは端材に巻き付けるようにして、隙間に土を埋めて固定します。 会所部分のシートは切り抜いて被せています。
   
第1章 池づくり (3) シートを土で被う。
 シートを土で被い叩き固めます。足ふみ、タタキ、スコップの腹で・・・ 最初は池の底部分に盛り土をします。
つぎに盛った土の壁に乗せるように上に向かって土を盛っていきます。しっかり固めます。シ−トの上には、少なくとも10センチ〜20センチの土が載っているようにします。

乾燥してヒビが入ることもあります。散水し、土に水を吸わせます。水が抜けると叩いて固めます。これを繰り返します。
一重の土の上に二重目の土を入れ、厚みを加えていきます。この作業分、池の深さは当初より浅くなっていきます。最深部で70〜80センチ。会所の穴を入れると1m弱くらいかな。

作業期間中、雨が多いと水が溜まります。そうなると池の底面はどろ沼状態でしばらく作業ができません。
雨が数日以上降らないという天気予報を信じて、水抜きをします。水中排水ポンプがあれば便利ですが、なければ小バケツでひたすら汲み出し。きついよ。
 


一重目

二重目
 池の全体像が出てきました。ここに土手を盛ると池本体の形は完成です。会所には作業中の土が入らないように仮蓋をしています。

池づくり作業と併せて、池の前に野外テラスを作りました。テラス屋根の雨水がビオトープに注ぐように工夫します。(注水・排水で説明)
 
   
 第1章 池づくり (4) 土手づくり
 池の輪郭に沿って土を積み上げて土手を造ります。積み上げた土手までは水は来ない設計なので防水の必要はありません。土手ができると池は大きくなったように見えます。
 
 2019年2月18日 土手の完成。 土手の土止めに農園の雑草を移植します。  水の流入口付近は、大小の石を並べ敷き詰めて、土の浸食を防ぐように工夫します。
 
   
第1章 池づくり (5)  注水と排水
 池の外観はほぼできました。ここから大事な工程です。
水の出し入れを考えなければなりません。最浅部は陸続きです。陸生と水生の植物がせめぎ合うエリアです。この場所に水が注がれるような仕組みを造ります。RIKAENビオトープは、屋根の雨水を使うようにします。(RIKAENでは夏季に吉野川の揚水も使えます。)

排水は、平常時の水面高に合わせて塩ビパイプを差し込みます。

会所は、水抜きをする場合、ここに排水ポンプを入れます。また、厳寒期には生き物たちの避難場所にもなります。
 
左写真は、テラス屋根の雨水をトユを使って池に落とし込み。右写真は、奥の家屋屋根の雨水をトユを使って池の最低部(上流部)から注水します。
 L型塩ビ管の開口部は固定しないで接続します。

開口部を可動することによって。排水時の水面高を変えることができます。
 
 第2章 環境形成 (1)  内側(水中)の環境を整える 
 生物の棲み処となる穴あきブロックや、トンボ脱皮の止まり木などの生息環境を整えます。 観察にも使う橋を渡してほぼ完成です。
 

水中の生き物の棲み処を造っておきます。穴あきブロックを交互に積み重ねたり、大きな石をいくつかまとめて沈めておいたりします。

トンボ池には、ヤゴが脱皮の時に這い上がる止まり木が必要です。丸木や切り株などは水に浮いてしまうので、沈めて固定する工夫が必要です。

ショウブなどの水生植物を育てると、その茎に這い上がってくるので、とくに止まり木はいりません。

最浅部の注水口から最深部の会所に向かって流れる水が、泥土を巻き込んで会所を埋めてしまわないように池の底は、いくつかに分割しています。砂防ダムのような効果を期待しているのです。

2019年2月末、ビオトープの基本外観が出来上がりました。
 
   
 第2章 環境形成 (2)  陸側(池の外周)の環境を整える 
池周辺の植生は、できるだけ身近に存在する草木を移殖配置しました。ほとんどは農園に存在する雑草類です。持ち込みの草花も野草や自生種が主です。チョウが蜜を吸いに集まるように考慮しました。スタッフのガーデンづくりの経験と知識の豊富なSさんにアイディアをいただきました。
   A  ヘビイチゴ ウマノアシガタ タンポポ タネツケバナ オオイヌノフグリスズメノカタビラ レンゲ ゲンノショウコクローバ カキオドシ 
イヌタデ ハルジオン ヒメジョオン ムラサキカタバミ オッタチカタバミハコベ 
ホトケノザ ヒメオドリコソウ サワヒヨドリ アヤメ スゲ
 B カワラナデシコ オミナエシ オトギリソウ ウツボグサ ユウスゲ 
ボタンクサギ チガヤ ヤブカンゾウ キチジョウソウ コスミレ
 C クローバ タチスボスミレ ヒメリュウキンカ
 D ムスカリ クリスマスローズ アガパンサス ジャーマンアイリス
 E  レンゲ
 樹木  ヒガンザクラ ナシ クヌギ エノキなど
 
 
参考 バタフライガーデン
 スミレ類・・・ツマグロヒョウモン  かんきつ類・・・アゲハ  ニンジン セリ類・・・キアゲハ  ウマノスズクサ・・・ジャコウアゲハ  エノキ・・・ゴマダラチョウ オオムラサキの食樹草  
クサギ ボタンクサギ・・・アゲハ類が吸蜜  サワヒヨドリ ヒヨドリバナ フジバカマ・・・アサギマダラが吸蜜   クヌギ・・・ヤママユ 甲虫 ハチ 大型チョウなどが吸蜜
 

 

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