◆ 梨の花をご存知でしょうか。

 

 

奈良県のほぼ中央あたり、吉野大峯連山を東にのぞむ大淀町・大阿太高原一帯は

古くから梨の栽培が盛んな地域です。

初秋、梨狩りの季節にはたくさんの人が梨の実を求めて賑わいます。

 

桜の花見が終わるころ、梨の花が咲き始めます。

梨は桜や桃と同じバラ科の花です。純白の花は清楚な美しさに満ちています。

大阿太高原一帯の梨農園は、まるで雲海のように白くたなびく梨の花で埋め尽くされます。

 

ところが、

 

日本では「梨」といえば誰もが「実」のことを思い浮かべます(註1)。

梨と同じバラ科の花木である梅や桜や桃のように、花を愛でる文化はないのです。

 

古くは清少納言も、「梨の花はいとすさまじきもの」と、

面白みのないつまらない花だと「枕草子」に書いています。(註2)

 

ほんとうに、そうなのでしょうか。

 

中国では、楊貴妃に例えられ、欧米では梨の花並木道があり(註3)、

春を告げる美しい花として

梨の花は多くの人々に親しまれ愛されているのです。

東洋原産の梨の木は、海の向こうの街でしっかり根付いていました。

 

 

日本には、季節の花々を生けて楽しむ文化が育っています。

しかし、町の花屋さんで梨の花を見ることはありません。

梨農園では、剪定した花芽枝は捨てられるさだめにあったのです。

 

長い間、日陰の花であった梨の花。

この花を、多くの人に知ってほしい、見ていただきたいと思いました。

 

私たちは、梨の花の美の復権を目指す活動を始めました。

それが、梨の花プロジェクトです。

 

梨の花プロジェクト委員会が運営するRIKAENは、

梨の花鑑賞を最優先した唯一の梨の花農園です(註4)。

 

梨の花農園RIKAENでは、

実の出来ない(小さく食用にならない)ヤマナシ(註5)や、鑑賞に適したマメナシ(註6)を育てています。

いつの日か、私たちの町にも・・・そして日本各地に、梨の花並木道が出来ることを夢見て。(註7)

 

あなたもぜひ、梨の花ファンになってください。

 

広げましょう。梨の花の文化を。

 

 

註1
梨の実は古くから重視されていました。梨の実が文献に登場するのは日本書紀(六)持統天皇の詔。「草木を植えて五穀の補助にしなさい」とあります。桑や栗、麻など5種の奨励草木の中に梨が入っています。
註2
枕草子35段「木の花は」に記述。紅梅、桜、藤の花をいとめでたしと褒めた後、逆の立場で梨の花をいとすさまじきと述べています。しかし、彼女は中国の漢詩もよく読んでいたようで、日本では梨の花を蔑んでいるけれど、中国では楊貴妃の美しさに例えられていると、梨の花のために弁明しています。梨の花で美意識を変えた最初の文学者です。
註3

有名な梨の花並木道はアメリカ・ニューヨーク市のマンハッタン通り。数キロにわたる通りには梨の花が街路樹として植えられ春には白い花で覆われます。

マンハッタン通りの梨の街路樹      オーストリアの梨並木

註4
梨農園では、収獲作業のために梨の枝を横方向に固定する梨棚(針金の天井)を敷いています。RIKAENは、梨棚を撤去して、花を愛でることに特化した梨農園にしています。花芽枝はすべての花が咲くまで摘花はしません。花期が終わると翌年の花のために実は小さいうちにすべて取り去ります。
註5

大阿太高原には、たった1本の梨栽培の始まった頃から育っていると思われるヤマナシの高木が残っています。こんな大きなヤマナシが残っているのは奇跡です。その花は、蕾から咲き始めの頃はピンクに染まり、開花と共に真っ白に変化します。ことのほか可愛い花です。RIKAENではこのヤマナシも接ぎ木で増やしています。

註6

和梨はすべて接ぎ木で大きく育てられます。その台木になるのがマメナシです。梨の花プロジェクトは、ニューヨーク由縁のマメナシ(ブラッドフォード種)を鳥取の二十世紀梨記念館を経由して穂木を分けていただきました。このマメナシの穂木を愛知県の育苗農園の協力を得て接ぎ木をし、RIKAENに持ち込んで育苗しています。実が出来ず、春に花が咲き、秋に深紅に紅葉するので庭植えの鑑賞木や街路樹に適しています。

鳥取二十世紀梨記念館前の梨並木 春と秋

註7  2019年5月。吉野川沿いの国道370号線(大淀町佐名伝)の堤防約700mに81本のマメナシ(ブラッドフォード種)の苗木が植えられました。全国初の梨の並木道が誕生しました。 
報道記事

ださい。


◆ 梨の花プロジェクトはあなたと夢を共有したいと願っています。

 

2018年4月1日、大淀町に「梨の花条例」が施行されました。

梨の花で町づくりを進めるという、全国初の条例です。

梨の花プロジェクト委員会は、行政と連携しながら梨の花の宣伝と花木の普及に取り組み、

町の未来像を夢描いていきます。

 

◆ 新しい価値を生み出す農園に

 

梨の花農園RIKAENは、多目的な農園活動を行っています。

社会状況の変化で歴史ある大阿太高原の梨農園が激減。放置荒廃農園が生まれています。

経営を続けられなくなった農園は、ほとんどが太陽光発電施設に変ります。

私たちは、農園環境を維持する選択肢に、多目的な活動を生み出す農園環境を提案します。

RIKAENは、さまざまな趣味や技術をもった人が交わる農園を目指しています。

 

梨の花農園RIKAENでは、梨の花木の育成研究に加えて

この農園にしかない希少種の梨「阿太夢(あだむ)」を育てています。

もちろん、自然に優しい超減農薬で自家受粉栽培です。RIKAENは実験農園としての

役割をもって梨の新しい価値づくりを探求していきます。

 

私たちは、非営利のボランティア団体です。夢の実現には大きな支援が必要です。

夢を共有して汗を流してくれるなかまを募っています。

 

あなたの参加を心からお待ちします。


会員の募集について 会員規約はコチラ

 


 

 梨の花プロジェクト委員会は、梨づくり受講生を募集しています。

詳しくはRIKAENをお訪ねください。

現在、受講生の募集は行っていません。

 

2020年度梨づくり受講生の募集要項




梨の花マルシェは、大淀町の「人づくり・町づくり先進的事業助成」を受けています。

後援  大淀町・奈良県

 

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